現住職の実父であり、先代住職の鈴木俊隆(しゅんりゅう)師は、アメリカ西海岸にて禅の教えを広めることに心血を注ぎましました。曹洞宗では海外布教の第一人者と言われています。
俊隆師が亡くなり45年を経た今でもその教えは多くの外国人僧侶や参禅者により受け継がれ、全米各地、さらには世界各国へと広がりを見せています。その代表的な著書「Zen
Mind、Biginner’s Mind」は世界24ヶ国語に翻訳され、おそらく世界で最も読まれている禅の書と思われます。世界的コンピューター会社アップルの元最高経営責任者、故スティーブ・ジョブズ氏は仏教徒でした。彼もまた俊隆師や、俊隆師によって招かれた乙川(知野)弘文師から学んだ多くの生徒の一人でした。その禅の思想は彼の経営理念、さらには彼の生き方そのものに大きな影響を与えました。
《下へつづく》
写真:退董式を終え林叟院を発つ老師と、師匠の草鞋の緒を締める現住職
特に海外で偉大な人物と伝えられる鈴木俊隆師ですが、その体格は小柄でした。また幼少期には師匠から「へぼきゅうり」(うらなりの小さく曲がったきゅうりに例えて言ったらしく、伝記「Crooked
Cucumber」の原語)と呼ばれるほど、病弱であまり恵まれた体ではありませんでした。師は自分のことを偉大な禅学者鈴木大拙氏と比較して、「小さな鈴木」と謙遜して紹介したと言われます。しかしその功績はとても大きなものがありました。
相手によって態度を変えることなく、偉そうにせず、またへつらわないその性質は、決して意図したものではありませんでした。師の日常は自然体そのものでした。師は多くの言葉を残しました。しかし、いつも皆と同じように坐禅し同じように生活をする、それまでの指導者らしからぬそんな姿に、人は何とも言えぬ人間的魅力と親しみを感じ、ひかれていったのかもしれません。
この林叟院へも、俊隆師の教えを求めてそれら多くの外国人が度々訪ねて参ります。皆様も俊隆師の足跡を訪ねてみてはいかがでしょうか。
俊隆師が開設したサンフランシスコ禅センター
http://www.sfzc.org/
タサハラ禅センターにて「参同契」講義の様子
https://www.youtube.com/watch?v=GwNkrZZLl_A
デイヴィッド・チャドウィック氏による鈴木俊隆アーカイブサイト「cuke.com」
http://cuke.com/
同「shunryusuzuki.com」
http://www.shunryusuzuki.com/
『鈴木俊隆老師の教え~「禅マインド ビギナーズマインド」に学ぶ~』①
『鈴木俊隆老師の教え~「禅マインド ビギナーズマインド」に学ぶ~』②
『鈴木俊隆老師の教え~「禅マインド ビギナーズマインド」に学ぶ~』③